『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』
動物好きさんへ贈る私の一番のお勧め本は、こちら、リチャード・アダムス著の「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」です。
私はこの本を高校生の時に初めて読みました。動物好きな友達に勧められて借してもらい、夢中になって読んだ記憶があります。ずっと長い間、もう一度読み返したいと思っていて、やっと最近入手できたので、じっくり読んでみましたが、30年たって読んでみても、ほんとにこれは最高です。上・下巻に分かれていて、かなりの分量です。しかし、その量を感じさせない面白さがあって、もうあっという間にのめり込んでしまうこと間違いなしです。きっと読み進めながらも、まだまだ終わらないでーと思ってしまいますよ。
まだ読まれていない方がいましたら、ぜひぜひに!とお勧めします。
どんな本か
住かを追われた野生のうさぎたちが、安住の地を求めて旅をし、戦っていく冒険物語です。ヘイズルという賢い若ウサギが、たくさんの仲間とともに、活躍します。ウサギというだけあって、舞台となるのは、人間も近くに住んでいる草原や丘や牧場など、とても身近な所です。もともと人間の開発によって住かを追われたのです。
ウサギの他には、ネズミ・猫や犬、鳥など、小動物が登場して彩りを添えます。でも戦いは主に、異種の動物ではなく、他のウサギコロニーとの間に繰り広げられます。同じウサギでも、様々な状況、様々な考えの集団がいて、とても興味深いです。
野生の生き物たちが、いつでも真剣に生きている様が鮮明に描かれています。
お勧めのところ
ウサギ同士の激突
全編通して冒険と闘いの旅はスリル満点で面白いですが、特に後半の「将軍」率いる大きなウサギコロニーとの戦いは圧巻です。知恵と勇気と運に支えられ、小さな命の力が激突します。かわいい小動物というイメージのウサギですが、この本を読むと、そのイメージが覆されます。フィクションの物語ですが、そこには野生のウサギのたくましさや賢さ、魅力があふれていて、決して作り話とは思えない生々しい面白さがあります。
ウサギの生態
ウサギでも会話できたりするところは擬人化されていて人間的なのですが、やはり人間とは違う動物的な考え方や生態などもきちんと描かれていて、人間との違いを感じとれるのが、これまた味わい深いです。うさぎへの知識や理解も深まります。
キャラクターの魅力
たくさん登場するウサギたちのキャラがさらりと個性的に描写されていて、魅力的です。やはり主人公のヘイズルがとても魅力的に感じますが、他にもなにげにお気に入りのキャラが出てくるかもしれませんよ。
異種動物の登場
異種の動物たちとの交流が面白いです。特に、カモメのキハールは、随所でいい働きをしてくれて、キハールなしではこの話はなりたたないほど頼もしく頼りになる存在。小さな動物にとって空からの応援は強力な武器になるということですね。私的には、キハールが出てくると、うわーっと嬉しくなって、テンション上がります。
あらすじはこれから初めて読まれる方のために、敢えて書きませんが、動物好き冒険好きなら、きっと後悔しない、お勧めの本だと思いますので、楽しくお読みいただけたら幸いです。
書籍情報
「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち 上・下巻」
著者 リチャード・アダムス
訳者 神宮輝夫
発行 評論社 初版1975年